疲労回復につながる飲み物の摂取は、比較的簡単に実践できるストレス対処法の1つです。仕事や家事による疲労を感じたとき、「何を飲めば楽になるか」「栄養ドリンクの代わりになる飲み物はないか」と考える人は少なくないでしょう。
当記事では、コンビニやスーパーで購入できる疲労回復を期待できる飲み物を解説します。また、疲労回復を助ける栄養素と働き、飲み物を選ぶ際の注意点も紹介します。身近なもので疲労回復を図りたい人や手軽に疲労回復したい人は、ぜひ参考にしてください。
疲労回復におすすめの飲み物8選
人間の身体は食べ物や飲み物からさまざまな栄養素を摂取し、正常な機能を維持しています。疲労回復したいときは栄養バランスの整った食事に加え、エネルギー源となる栄養素と代謝を促進する栄養素を意識的に摂取しましょう。
下記は、疲労回復したいときにおすすめの栄養素です。
疲労回復におすすめの栄養素4種類 |
・ビタミンB群 ・ビタミンC ・クエン酸 ・分岐鎖アミノ酸(必須アミノ酸) |
ビタミンB群は脂肪・炭水化物・タンパク質の代謝に働きかけ、クエン酸回路をスムーズに回すのに必要な栄養素です。ビタミンCは、タンパク質からコラーゲンを合成したり、白血球を活性化して身体の抵抗力を高めたりするのに必要な栄養素に該当します。
クエン酸は体内のエネルギー代謝と深く関わり、疲労物質の排出を促す栄養素です。また、分岐鎖アミノ酸は筋肉のエネルギー源となり、疲労回復の働きを助けてくれます。
疲労回復におすすめの栄養素を手軽に取り入れるには、飲み物から摂取する方法がおすすめです。以下では、疲労回復につながるおすすめの飲み物を紹介します。
甘酒
甘酒は日本人との縁が深く、夏バテ防止や栄養補給を目的に親しまれてきた飲み物です。ノンアルコールの甘酒は、蒸した米と麹菌を合わせて発酵させ、デンプンをブドウ糖・オリゴ糖に変えることで、自然な甘みを引き出すことができます。
米麹から作られる甘酒の特徴は、すべての分岐鎖アミノ酸が含まれていることです。また、米麹から作られる甘酒には複数種類のビタミンB群が含まれており、補給した糖質から効率的にエネルギーを生み出して、疲労回復を助けます。
トマトジュース
トマトジュースとは、トマトの搾汁もしくは裏ごしして皮や種子を除去したものに、食塩を加えた飲み物です。濃縮トマトを希釈した飲み物も、トマトジュースに含まれます。
疲労の原因である活性酸素を除去し、回復を助けてくれる働きを「抗酸化作用」と言います。トマトは、抗酸化作用を期待できる「リコピン」を豊富に含む食材です。運動後や疲労を感じたときにリコピンを摂取すると、抗酸化作用によって疲労ダメージを抑え、健康的な状態への回復を図ることが可能です。
オレンジジュース
「オレンジジュース」として発売されている商品はすべて、100%のオレンジもしくはみかん果汁に規定の添加物を配合した飲み物です。オレンジジュースにはストレスを感じたときに消費されやすい「ビタミンC」や、脳神経の興奮を抑える働きをするカルシウムの吸収を助ける「クエン酸」が含まれます。
なお、果汁10%以上100%未満の商品はオレンジジュースではなく、果汁入り飲料に区分される飲み物です。疲労回復目的でオレンジジュースを飲む場合は、成分表示をよく確認してから購入しましょう。
梅ジュース
梅ジュースは、青梅と砂糖またははちみつで漬け込んだシロップを、水や炭酸水で割った飲み物です。梅ジュースにはクエン酸やビタミンB群が含まれることから、疲労回復効果が期待されます。
梅ジュースに含まれる適度な糖分も、疲労回復を助ける要素の1つです。一般的に、食べ物は摂取してからエネルギーに変換されるまで一定の時間を要します。一方、糖分は摂取後すぐにブドウ糖などに変換されるため、血糖値の上昇が促され、結果として疲労回復につながります。
牛乳
牛乳は、心身の健康を維持するために必要な5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン)がバランスよく含まれる飲み物です。牛乳には「美容ビタミン」と呼ばれるビタミンB2も含まれており、疲労回復を図ると同時に肌荒れ対策にもなります。
また、牛乳には分岐鎖アミノ酸がバランスよく含まれています。牛乳は、少ない摂取カロリーで、疲労回復に役立つ複数の栄養素を効率的に摂取できると言えます。
豆乳
豆乳とは、すりつぶした大豆に水を加えて、煮詰めた液体をこした飲み物です。豆乳商品をより細かく分類すると、3種類に分けられます。
豆乳 | ・大豆固形分8%以上の飲み物 |
調整豆乳 | ・豆乳に植物油脂や調味料を加えた、大豆固形分6%以上の飲み物 |
豆乳飲料 | ・(果汁系)調製豆乳などに野菜や果物の絞り汁を加えた、大豆固形分6%以上の飲み物・(果汁系以外)調製豆乳などに粉末大豆たん白を加えた、大豆固形分4%以上の飲み物 |
(出典:農林水産省「豆乳類の日本農林規格」/https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_tounyu_h240717.pdf)
豆乳は牛乳同様、複数種類の分岐鎖アミノ酸を含む飲み物です。植物性タンパク質の豆乳は動物性タンパク質の牛乳と比べて脂質が少なく、コレステロールが低い特徴を持ちます。
緑茶
緑茶とは、茶葉を発酵せず蒸して処理した飲み物です。緑茶にはビタミンB群、ビタミンC、カリウムなどのミネラルが含まれており、疲労回復を助けてくれます。
また、緑茶は下記の成分を含むことから、心の疲労回復にもおすすめの飲み物です。
- テアニン
- ギャバ(GABA)
テアニンは、脳の神経細胞を保護したり緊張を緩和したりすることで、集中力アップを助ける成分です。ギャバには脳への酸素供給量を増加させて、立った気を落ち着かせる働きが期待できます。
桑の葉茶
桑の葉茶とは、クワ科の落葉樹「桑の葉」から作られる健康茶です。桑の葉には、ビタミンB群・ミネラルなど複数種類の疲労回復を助ける栄養素が含まれます。また、桑の葉は心の疲労回復を助けることが近年注目されている「ギャバ」も含む植物です。桑の葉に含まれるルチンはビタミンCの吸収を後押しし、疲労回復を間接的にサポートします。
さらに、桑の葉茶は香りや味の癖が少なく、子どもの水分補給におすすめの飲み物です。桑の葉茶はノンカフェイン(カフェイン量が100g中0.01未満)であることから、睡眠前の疲労回復対策にも適しています。
また、桑の葉茶は食物繊維が豊富なため、食前に飲むことで糖質の吸収を穏やかにすることが期待できます。
疲労回復におすすめの飲み物をとる際の注意点
リフレッシュ目的で飲み物をとる場合、選び方や飲み方を誤ると逆効果になる可能性があります。飲み物で効率的に疲労回復を図るには、いくつかの注意点を守り、正しく摂取することが大切です。
疲労回復におすすめの飲み物をとる際に重要な注意点を2つ紹介します。
●カフェインに注意する
緑茶などのカフェインを含む飲み物は、摂取量に注意しましょう。下記は、厚生労働省の示すカフェインの過剰摂取に伴うリスクです。
カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがあります。
(引用:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html/引用日2022/7/13)
また、カフェインを含む飲み物は脳を覚醒させることから、睡眠前の水分補給に不向きと言われています。カフェインを摂取することに不安がある人は、桑の葉茶などのノンカフェイン(カフェイン量が100g中0.01未満)の飲み物を選択しましょう。
●お菓子は控える
糖分を含む飲み物とお菓子を一緒にとると血糖値が急上昇し、血糖値スパイクを引き起こす恐れがあります。血糖値スパイクとは、血糖値が急上昇・急降下して、強い眠気や疲労感を引き起こす状態のことです。血糖値スパイクを防止するためにも糖分を含む飲み物は、お菓子と別にとるのをおすすめします。
まとめ
人間の身体は、普段摂取している飲み物・食べ物から作られます。疲労を感じるときはバランスのよい食事に加え、疲労回復をサポートする「ビタミンB群」や「クエン酸」などの栄養素を意識的に摂取するとよいでしょう。甘酒や牛乳などの飲み物から必要な栄養素を手軽に摂取できます。
疲労回復におすすめの飲み物をとる際には、カフェインや糖分のとりすぎに注意しましょう。カフェインの摂取に不安がある人は桑の葉茶など、ノンカフェイン(カフェイン量が100g中0.01未満)の飲み物がおすすめです。