お茶で血糖値を下げることはできる?
お茶の種類や商品によっては、血糖値の上昇を抑えられる可能性があります。ジュースよりお茶のほうが血糖値を下げる効果が期待できるため、食事中や水分補給時の飲み物にはお茶がおすすめです。
お茶の中には、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品など糖の吸収を穏やかにする商品もあります。お茶を飲んで効率よく血糖値を下げたい場合は、商品の特徴に注目して選びましょう。
特定保健用食品と機能性表示食品の違いは、下記の通りです。
特定保健用食品 | ・生理学的機能などへ影響を与える成分を含んでいる ・消費者庁長官の許可を得て許可マークを表示できる |
機能性表示食品 | ・保健機能を表示できる ・消費者庁長官の個別の許可を受けていない ・消費者庁へ科学的根拠などの届出が必要となる |
特定保健用食品は国の審査により有効性が証明されているのに対して、機能性表示食品は国による審査が行われません。機能性表示食品を利用する場合は、配合成分をチェックして商品を選ぶ必要があります。
血糖値を下げる効果が期待できるお茶
コンビニやスーパーなどで飲料を購入する場合は、血糖値を下げる効果が期待できるお茶を選ぶことがおすすめです。ただし、お茶と一口に言っても、配合成分は種類によって異なります。お茶を購入する場合は、成分表示を参考にお茶に含まれる成分を確認しましょう。
ここからは、お茶の種類別に配合成分と効能について解説します。
麦茶
麦茶は、大麦の種子を焙煎したものを水出しにしたり煮出したりして作ります。麦茶に含まれる主な成分は、下記の通りです。
・カリウム
・カルシウム
・ナトリウム
・リン
・亜鉛
・アルキルピラジン
・ポリフェノール
アルキルピラジンには、血流改善や代謝アップの作用があります。そのため、血圧上昇や血栓の予防、血糖値を下げるなどの効果が期待できます。また、ミネラル・カルシウム・亜鉛も含まれているため、運動後の水分補給や骨・皮膚の健康状態維持に効果的です。
緑茶
緑茶は、茶葉を蒸して乾燥させたものにお湯を注いで作ります。緑茶に含まれる主な成分は、下記の通りです。
・カテキン
・カフェイン
・テアニン
・ビタミン類
・サポニン
緑茶の渋み成分でもあるカテキンには、タンパク質や脂質などが酵素によって酸化されることを防ぐ抗酸化作用があります。さらに、サポニンには血圧低下作用と抗インフルエンザ作用、テアニンにはリラックス効果があります。
緑茶は、血中コレステロールの低下・血圧上昇抑制・体脂肪低下作用・血糖値を下げる効果が期待できるため、高血圧が気になる人にもおすすめです。
ウーロン茶
ウーロン茶は、半発酵の後で乾燥させた茶葉にお湯を注いで作ります。ウーロン茶に含まれる主な成分は、下記の通りです。
・カテキン
・テアフラビン
・カフェイン
・サポニン
・ビタミン類
・ウーロン茶ポリフェノール
ウーロン茶には、緑茶と同様にカテキンが多く含まれているため、抗酸化作用や体脂肪低下作用が期待できます。さらに、脂肪吸収を抑える作用があるウーロン茶ポリフェノールが含まれていることも特徴です。ウーロン茶は、生活習慣病の予防・改善やダイエットを目指したい人や、血糖値を下げたい人に適しています。
ほうじ茶
ほうじ茶は、高温焙煎した緑茶の茶葉にお湯を注いで作ります。ほうじ茶に含まれる主な成分は、下記の通りです。
・カフェイン
・カテキン
・メラノイジン
・サポニン
・ビタミン類
・ピラジン
・テアニン
ほうじ茶と緑茶は、含まれる成分が似ています。しかし、焙煎することで褐色物質のメラノイジンや香り成分のピラジンが生まれることが特徴です。ほうじ茶にはカテキンとテアニンが含まれているため、抗酸化作用・体脂肪低下作用・血圧低下作用・血糖値を下げる効果が期待できます。
桑の葉茶
桑の葉茶は、蒸して乾燥させた桑の葉にお湯を注いで作ります。養蚕業が盛んだった時代は、日本各地で桑の栽培が行われていました。しかし、養蚕業が衰退した現代では、桑を栽培する農家数はわずかとなっています。
桑の葉茶に含まれる主な成分は、下記の通りです。
・DNJ(デオキシノジリマイシン)
・食物繊維
・ビタミン類
・カルシウム
・鉄分
・亜鉛
・マグネシウム
桑の葉茶には、ほかのお茶には含まれていない特有成分のDNJが含まれています。DNJには、糖質の分解効率を下げる働きがあり、糖の急激な上昇を抑えることが可能です。桑の葉には、カルシウム・鉄分・ビタミン類など、健康維持に必要な成分も豊富に含まれています。
【要注意】血糖値を上げるお茶・飲み物
健康状態を維持するためには、必要な水分をしっかり摂取することが大切です。特に、血糖値が高い人は、尿の量や回数が増えて体が脱水状態になりやすいため、適度な水分補給を心がけましょう。
水分補給時の飲み物には、水やお茶が適しています。しかし、中には血糖値を上げるお茶や飲み物もあるため注意が必要です。
ここからは、血糖値を上げやすい飲み物について解説します。
砂糖の入った紅茶
紅茶自体に糖は含まれていません。しかし、ミルクティーやレモンティーなどの紅茶を使用した飲み物には糖が含まれていることがあります。無糖・ノンシュガー・糖質ゼロと表示されていても、少量の糖分が含まれている場合があるため注意しましょう。栄養表示基準では、100mlあたりの糖分が0.5グラム未満の商品は、無糖・ノンシュガー・糖質ゼロと表示できると定められています。
血糖値を下げる目的でお茶を飲む場合は、糖が含まれていないかどうかチェックして商品を選びましょう。
野菜ジュース
野菜ジュースには、ミネラルやカルシウムなどの栄養成分が含まれています。手軽に栄養を摂取できることがメリットですが、多くの野菜ジュースには糖や果糖が含まれています。血糖値が気になる人の場合、水分補給を目的に野菜ジュースを飲むのは危険です。
野菜に含まれる食物繊維やビタミン類などの栄養素は、野菜ジュースに加工する工程で失われるケースがほとんどです。栄養摂取が目的の場合は成分表示を確認した上で選び、水分補給が目的の場合は糖を含まない飲み物を選びましょう。
清涼飲料水
炭酸飲料やスポーツドリンクなどの清涼飲料水には、大量の糖が含まれています。飲み物による血糖値の上昇を抑えるためには、清涼飲料水を控えることが大切です。清涼飲料水を飲むことが習慣化している人は、ペットボトル症候群のリスクが高いと言えます。
ペットボトル症候群の特徴は、下記の通りです。
(1)清涼飲料水に含まれる糖により血糖値が上がる
(2)血糖値が上がると水分を欲するため喉が渇く
(3)喉を潤すために清涼飲料水を飲み悪循環となる
ペットボトル症候群は、だるさ・脱力感・激しい喉の渇き・頻尿などの症状が現れます。場合によっては、意識障害が起こる可能性もあるため注意しましょう。
まとめ
血糖値を下げる効果が期待できる飲み物を積極的に摂り入れることで、血糖値の上昇を予防できます。血糖値を下げたい人は、麦茶・緑茶・桑の葉茶など砂糖を含まないお茶を選びましょう。特に、桑の葉茶には糖質の分解効率を下げるDNJが含まれているため、糖の数値が気になっている人におすすめです。
一方、砂糖入りの紅茶・野菜ジュース・清涼飲料水には、糖が含まれています。水分補給時に糖が多い飲み物を飲むと、血糖値の上昇につながるため気を付けましょう。