アミノ酸スコアとは?高い食品やスコアを見るときの注意点も

人間の肌や筋肉など多くの部分は、たんぱく質から作られており、たんぱく質は人間の体にとってとても大切な栄養素です。たんぱく質とは複数種の「アミノ酸」が結合したもので、アミノ酸をバランスよく食品から取り入れることで、体内のたんぱく質が満たされます。

当記事では、アミノ酸スコアの概要から、アミノ酸スコアの高い食品や献立まで分かりやすく解説します。健康意識の高い方やたんぱく質の摂取について興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

アミノ酸スコアとは?

自然界には500種類以上のアミノ酸があり、人体を構成するたんぱく質は20種類あります。20種類のたんぱく質のうち、体内では生成できず食品から摂取する必要がある9種のたんぱく質を「必須アミノ酸」と言い、体内で生成可能な11種を「非必須アミノ酸」と言います。

アミノ酸スコアとは、人間の体にとって望ましい必須アミノ酸量に対して、食品中の必須アミノ酸がどれくらい含まれているかを示す指標です。アミノ酸スコアが100に近い数値であるほど、良質なたんぱく質ということになります。

(出典:厚生労働省「良質なたんぱく質」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html

食品に含まれるたんぱく質は消化器官でアミノ酸に分解され、体内に吸収されます。吸収されたあと、腎臓で20種類のアミノ酸を数珠のように繋ぎ合わせることで人体用のたんぱく質が合成され、全身で活用するという流れです。

食品       分解+吸収   体内での再合成

たんぱく質  →  アミノ酸  →  たんぱく質

腎臓でたんぱく質を再合成するときに、20種類のアミノ酸のうち1種類でも不足していると、不足した1種類に合わせたたんぱく質しか生成できません。そのため、必須アミノ酸をバランスよく摂取できていないと、体内でのたんぱく質の再合成量が不十分となります。

再合成の過程で必要量のたんぱく質を作るには、必須アミノ酸のバランスがとれた食事の摂取が必要です。必須アミノ酸をバランスよく摂取する指標として、アミノ酸スコアが重宝されています。

アミノ酸スコアの計算式

アミノ酸スコアは、下記の計算方法で求められます。

食品たんぱく質中の第 1 制限アミノ酸含量(mg/gN)アミノ酸評点パターンの当該アミノ酸量(mg/gN)×100=アミノ酸スコア
第1制限アミノ酸含量・・・食品の中で最も不足している必須アミノ酸アミノ酸評点パターン・・・たんぱく質1gに含まれる必須アミノ酸の理想的な量

(出典:日本食品分析センター「食品たんぱく質の栄養価としてのアミノ酸スコア」/https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_no46.pdf

アミノ酸評点パターンは下記の通りです。アミノ酸評点パターンの数値は年齢により異なります。下記の数値は18歳以上の方の、たんぱく質1gに含まれる必須アミノ酸の理想的な量です。

イソロイシン30ロイシン59
トリプトファン6リジン45
ヒスチジン15バリン39
スレオニン23含硫アミノ酸22
芳香族アミノ酸38

(出典:MORINAGA「アミノ酸スコアとは?」/https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=6&category=muscle

アミノ酸スコアを用いれば、「必須アミノ酸を過不足なく含んでいる良質なたんぱく質であるか」が判断できます。

代表的な食品のアミノ酸スコア

代表的な食品の食品のアミノ酸スコアを表にまとめました。

【代表的な食品のアミノ酸スコア】

食品名アミノ酸スコア
肉類(豚肉、鶏肉、牛肉、馬肉)100
魚類(アジ、鮭、イワシ、マグロ)100
鶏卵100
牛乳、乳製品(チーズ、バター)100
大豆100
精白米(うるち米)61
りんご56
食パン44
トウモロコシ31

(出典:厚生労働省「特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム」https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf)

上表から、以下2つのことが読み取れます。

動物性たんぱく質は、アミノ酸スコアが高いが脂質が高い
アミノ酸スコアの数値が高い傾向にあり、体内のたんぱく質量を補うのに有効的な食品だと言えます。一方で、「脂肪分が多い」「食物繊維やミネラルが少ない」という特徴もあります。
植物性たんぱく質は、ビタミンやミネラルが豊富だがアミノ酸スコアが低い
大豆はアミノ酸スコアが高く、良質なたんぱく質を含んだ食品です。アミノ酸スコアが高くない場合でも、組み合わせることで質のよいたんぱく質の摂取が目指せます。「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」など人体に必要な栄養素を豊富に含んでいます。

バランスよくアミノ酸を摂取できる食事メニュー

アミノ酸をバランスよく摂取できるような、1日の食事のメニューについて紹介します。

献立ポイント
朝食食パン1枚(ハム1枚、チーズ1枚)、バナナ1本、カフェオレ・パンだけではなく、ハムやスライスチーズといったアミノ酸スコアの高い食品をプラスする
・コーヒーに牛乳を加える
昼食かけうどん、サラダ・外食で炭水化物に偏りがちなメニューを選んだときは、玉子やチキン、ツナなどたんぱく質が含まれるサラダをプラスする
夕食ご飯、肉野菜炒め、キムチ納豆、味噌汁(ジャガイモ)・味噌は必須アミノ酸以外にも、さまざまな種類のアミノ酸や豊富な栄養素を含んでいる
・味噌汁の具には、野菜の中でもアミノ酸が豊富なジャガイモを使用する
・キムチに納豆をプラスする

お昼ご飯ではサラダで食物繊維やミネラルを補っているものの、アミノ酸の摂取量はあまり高くありません。朝ごはんや夜ご飯の食材に工夫を加え、1日を通してバランスのとれた食事をすることが大切です。

献立ポイント
おにぎり、ゆで卵、サラダ、ヨーグルトドリンク・サラダにゆで卵をつける
・お茶ではなくヨーグルトドリンクに変えて、アミノ酸スコアを上げる
昼食
(外食)
タラコスパゲッティ、チキンサラダ・サイドメニューとしてチキンやツナなど、アミノ酸の取れる食材が入ったサラダを選ぶ
夕食
(外食)
焼き鳥、出し巻き卵、枝豆、お茶づけ・アミノ酸だけでなくミネラルや食物繊維が豊富な枝豆を一緒に食べる
・焼き鳥のカロリーが気になる場合は、代わりに胸肉、レバー、ササミを選ぶ

外食をする場合でも、サイドメニューに気を配ることでアミノ酸の摂取量を増やせます。

アミノ酸スコアに関する注意点

必須アミノ酸は体内で生成できないため、食品から摂取する必要があります。アミノ酸スコアの高い食品は良質なたんぱく質とされるため、アミノ酸スコアの高い食品を食べるのもよいでしょう。しかし、アミノ酸スコアが低いからと言って食べるのを避ける必要もありません。

ここでは、アミノ酸スコアに関する注意点を2つ解説します。

(1)実際の含有量とは異なる場合がある
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準」のアミノ酸の項目には、食品の加熱や調理方法によってアミノ酸の有効性は変化するため、アミノ酸スコアの数値が利用率とイコールの関係になるとは限らないとの注意書きがあります。(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
また、アミノ酸スコアが100の食品を摂取しても、実際にどれくらい吸収できるかは食品の組み合わせや個人の吸収率によって異なります。アミノ酸スコアはあくまでも、食品を選ぶ際の1つの目安と考えましょう。
(2)スコアが低くても組み合わせ次第で十分な量を摂取できる
白米やパン、コーンフレークなどの穀類には、「リジン」という必須アミノ酸があまり含まれていません。そのため、リジンを多く含むチーズや鰹節と組み合わせることで、たんぱく質をバランスよく摂取できます。
アミノ酸スコアが低くても食べるのを控える必要はありません。さまざまな食品の組み合わせ、食事全体のバランスを考えて摂取することが大切です。

まとめ

アミノ酸スコアとは、人の体に望ましい必須アミノ酸が食品中にどれだけ含まれているかを数値化した指標です。アミノ酸スコアが100に近い食品ほど、アミノ酸がバランスよく含まれています。肉類や魚類、乳製品はアミノ酸スコアが高く、豆類や野菜はアミノ酸スコアが低い一方で、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている傾向にあります。

アミノ酸をバランスよく摂るには、アミノ酸スコアの高い食品だけではなく、さまざまな食品を組み合わせながら、1日を通してバランスの取れた食事にすることが大切です。

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