ダイエットの方法として代表的なのが、運動と食事制限です。そして、食事制限の中でも糖質制限は多くの人が実施する方法といえるでしょう。糖質は炭水化物の一部であり、体の重要なエネルギー源となりますが、摂取のし過ぎによって太りやすい体となってしまいます。
いざ糖質制限でのダイエットを始めようと考えても、具体的にどれくらいの摂取量に抑えるとよいのかわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、糖質制限中の糖質量の目安から、食べ物ごとの糖質量、糖質制限中に積極的に摂取しておきたい栄養素まで詳しく説明します。
糖質制限中の糖質の摂取量の目安は?
糖質制限といっても、摂取する糖質をゼロにすればよいわけではありません。生きていくうえで必要な栄養素を摂取しなければ、かえってストレスとなったりリバウンドしやすい体となってしまうため、ある程度の糖質は日々欠かさず摂取することをおすすめします。糖質制限中の糖質摂取量は、1日約70~130g、1食あたり20〜40gを目安にするとよいでしょう。
基本的に、人間は1日3食といった基本的な食事で毎日300g程度の糖質を摂取しています。また、日本人の主食であるご飯やパンのほか、麺類やお菓子などには多くの糖質が含まれているため、よく食べる人はそれだけ多くの糖質を摂取することになります。
そのため、糖質制限の目安にあわせて食事生活を突然変えたり、我慢して極端に食事量を減らしたりすることが難しいという場合は、1日のエネルギー総量の約50~65%を糖質摂取の目安にすることもおすすめです。まずは毎日体重を測る・間食やデザートを控える・飲み物は水やお茶だけにする・軽い運動を継続するなどの小さなダイエットから実践することも大切といえるでしょう。
糖質制限中の糖質量を目安に近づける食事例
基本的に、ご飯1杯の糖質は角砂糖約15個分といわれています。ご飯の重さを量れば糖質量を把握できますが、ご飯のグラム数が分からない場合は食べ方を工夫するとよいでしょう。
ここからは、糖質制限中の糖質量を目安に近づけるための、簡単な糖質の減らし方を紹介します。具体的にどのような食事内容にすればよいかの参考にしてください。
主食を少し減らして低糖質のおかずを食べる
前述の通り、日本人の主食であるご飯やパンには多くの糖質が含まれています。そのため、主食を糖質20gに収まるよう減らし、かわりに低糖質のおかずを増やすことで、食事量はさほど変えず無理のない糖質制限を行うことが可能です。
糖質が約20g程度となる主食の目安は、下記の通りとなっています。
【糖質が約20g程度となる主食の目安】
ご飯 | 茶碗半分程度 |
食パン | 6枚切り1切れ |
プレーンヨーグルト | 400g |
また、低糖質のおかず(食材)には、肉類・魚類・大豆製品・葉物野菜などが挙げられます。代表的な和食のメニューであるご飯・焼き魚・サラダ・味噌汁は、糖質を抑えられる健康的な食事内容といえるでしょう。
反対に、いも類や甘い調味料(ケチャップ・砂糖・みりんなど)は糖質が高くなるため、なるべく控えることがおすすめです。
主食をなくして普通におかずを食べる
普段から標準的な量またはそれよりも少し多い量の食事だったという場合や、主食を減らして低糖質のおかずを増やすことが面倒な場合は、主食を抜いていつも通りおかずを食べることがおすすめです。
糖質が多く含まれているご飯やパンといった主食をなくすことで、一度の食事の糖質摂取量を大きく抑えることができます。そのため、揚げ物などやや糖質の高い調味料を用いたおかずも楽しめるでしょう。
しかし、糖質が非常に高いいも類が多く含まれたポテトサラダやコロッケをメインにすると、せっかく抜いた主食と同じ程度の糖質を摂取してしまうため控えましょう。
糖質制限の目安に!食べ物ごとの糖質量
食べ物によって、含まれている糖質は大きく異なります。糖質が低いと思っていても、意外と高い食材もあるため、食べ物ごとの糖質量をなるべく把握しておくことがおすすめです。食べ物ごとの糖質量を把握しておけば、糖質のコントロールもしやすくなるでしょう。
ここからは、食べ物ごとの糖質量を紹介します。ぜひ糖質制限の参考にしてください。
いも類
前述の通りいも類は、全体的に糖質が高いことが特徴です。いも類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
さつまいも(皮むき・焼き) | 約35.5g |
じゃがいも(蒸し) | 約17.9g |
さといも(水煮) | 約11g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
いも類の中でも、最も糖質量が多い食材はさつまいもです。一方で、さといもやながいもなどその他のいも類は比較的糖質が少なくなっているため、いも類を食べたいときはこれらを食べるとよいでしょう。
豆類
豆類の食べ物は、食材や食べ方によっても異なるものの、基本的に糖質が低いことが特徴です。豆類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
大豆(国産黒大豆・乾) | 約14.8g |
大豆(国産黄大豆・茹で) | 約1.8g |
木綿豆腐 | 約1.2g |
絹ごし豆腐 | 約1.7g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
乾燥大豆は糖質量が比較的高いものの、そのまま食べることは基本的にありません。茹でたり加工したりすれば糖質量は大幅に抑えられるため、糖質制限中のおかずとして積極的に取り入れるとよいでしょう。
野菜類
野菜類は、食材や食べ方によって糖質量が大きく異なること・一貫して糖質量は平均的(高くも低くもない)であることが特徴です。野菜類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
キャベツ(生) | 約3.4g |
アスパラガス(茹で) | 約2.5g |
人参(皮むき・炒め) | 約9.3g |
トマト(生) | 約3.7g |
ごぼう(茹で) | 約7.6g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
どの野菜においても、基本的に油で炒めることによって糖質量はやや高まります。糖質を抑えて食べたいという場合は、なるべく生で食べたり茹でて食べたりすることを心がけましょう。
きのこ類
きのこ類は、種類を問わず比較的低糖質であることが特徴です。きのこ類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
しいたけ(炒め) | 約2.6g |
ぶなしめじ(茹で) | 約1.7g |
えのきたけ(炒め) | 約4.2g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
なるべく糖質を抑えてきのこ類を食べたいのであれば、糖質を抑えられるしいたけやぶなしめじを茹でて、そのまま食べたりサラダに入れて食べたりするとよいでしょう。
魚介類
魚介類は、種類を問わず低糖質であることが特徴です。魚介類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
まぐろ(赤身・生) | 約0.1g |
さば(味付け缶詰) | 約4g |
いわし(塩焼き) | 約0.4g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
どの魚の種類においても低糖質ですが、食べ方には要注意です。味付けの缶詰などといった加工食品や、うなぎのかば焼きといったレシピの場合は糖質量が高くなるため、なるべく刺身や煮魚にして食べるようにしましょう。
肉類
肉類も、魚介類と同様に種類を問わず糖質が低いことが特徴です。肉類の具体的な食材における100gあたりの糖質量は、下記の通りとなっています。
食材 | 糖質量 |
牛肉(バラ・焼き) | 約0.3g |
豚肉(ロース・焼き) | 約0.3g |
鶏肉(皮付きもも・茹で) | 約0g |
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)
肉類も、どの種類においても低糖質ですが食べ方には要注意です。特に肉の場合は糖質の高い焼き肉のたれを付けて食べたり、味の濃い調味料を用いることも少なくありません。なるべく糖質を抑えたいのであれば、糖質が少ない塩をふって食べることがおすすめです。
糖質制限中でも積極的に摂取したい栄養素
ダイエット中だからといって、単純に食事量を減らせばよいというわけではありません。これは糖質制限中でも同様で、むしろ糖質制限中だからこそ積極的に摂取しておきたい栄養素は数多くあります。下記は、糖質制限中に積極的に摂取しておくべき栄養素です。
〇たんぱく質
たんぱく質とは、炭水化物や脂質と同様、体のエネルギーをつくりだす栄養素の1つです。良質なたんぱく質の摂取量が激減すると、免疫機能が低下して健康問題に悪影響を及ぼしてしまうため、糖質制限中でもきちんと摂取しておきましょう。
(出典:e-ヘルスネット「たんぱく質」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html)
〇食物繊維
食物繊維とは、人間の消化酵素によって消化されづらい“難消化性成分”の総称です。良質な食物繊維の摂取量が激減すると、腸内環境が悪化して便秘を引き起こしやすくなります。ダイエットにおいて、腸内環境の悪化は大敵です。
具体的な食材には、桑の葉・レタス・ごぼう・モロヘイヤ・明日葉が挙げられます。各食材における100gあたりの食物繊維含有量は、下記の通りです。
【100g中の食物繊維含有量】
桑の葉 | 35.7g (レタスの32倍、ごぼうの6.3倍、モロヘイヤの6.1倍、明日葉の6.4倍) |
レタス | 1.1g |
ごぼう | 5.7g |
モロヘイヤ | 5.9g |
明日葉 | 5.6g |
(出典:e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html)
食物繊維を正しく摂取することで、腸内環境を整えられるだけでなく、摂取のし過ぎが肥満の原因となってしまう脂質の排泄をサポートしたり、糖質の吸収を緩やかにしたりできます。太りにくい体づくりにおいても効果的ですが、継続は当然重要です。糖質制限中に限らず、日頃から上記に挙げた食材を積極的に摂るようにしましょう。
まとめ
糖質制限中の糖質摂取量は、1日約70~130g、1食あたり20〜40gを目安にすることがおすすめです。糖質を抑えた食事メニューに変更することが困難な場合は、1日のエネルギー量の約50~65%を糖質摂取の目安にするとよいでしょう。
また、食べ物や食べ方によって摂取する糖質量は大きく異なります。健康的な糖質制限ダイエットを成功させたいのであれば、糖質量の少ない食材で、かつ糖質を抑えておいしく食べられる食べ方を把握・実施してみてはいかがでしょうか。