近年は、コンビニやスーパーマーケットでダイエットに貢献する健康茶・糖質対策ドリンクを気軽に購入できる時代です。ヘルスケア意識の高い消費者の中には桑の葉茶(桑茶)に関心を持ち、日常生活に取り入れることを検討する人もいるでしょう。
当記事では、桑の葉茶を飲むおすすめのタイミングや、栄養素と働きを解説します。桑の葉茶をこれから飲む人や、すでに飲んでおり、より自分自身に合う飲み方を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
桑の葉茶を飲むベストなタイミングとは?
桑の葉茶はゆず茶やプーアル茶などと同じ嗜好品であるため、いつ飲んでも問題なく、好きなタイミング・シチュエーションで楽しめるお茶です。以下では桑の葉茶をよりおいしく、習慣として続けるためにおすすめの飲むタイミング・シチュエーションを紹介します。
食前
桑の葉茶は苦味が少なく、ミネラルウォーターの代わりに飲めるほどすっきりとした味わいを魅力とするお茶です。桑の葉茶は香りの癖も少ないことから、食前茶にもっとも適しています。
暑い時期には煮出した桑の葉茶を冷蔵庫で冷やしておくと、気軽に水分補給が可能です。冷やした桑の葉茶にお好みでレモンスライスやミントの葉を浮かべると、アイスティー感覚の飲み物が作れます。
食前に桑の葉茶を飲むと適度な水分により胃が膨れます。胃が膨れた状態で食事を取ると少量で満足感を得やすく、過食による肥満を防止することが可能です。また、桑の葉茶の原料である「桑の葉」には、現代人の不足しやすい栄養素が複数種類含まれます。
食前茶として桑の葉茶を取り入れると普段の食事で不足しやすい栄養素を効率的に補給し、栄養バランスの改善を図れます。特に食物繊維や特殊成分DNJ(1-デオキシノジリマイシン)が豊富なので、糖質の吸収を穏やかにすることが期待できます。
寝る前
桑の葉茶にはカフェインが含まれていない(100g中0.01未満)ので、寝る前の水分補給にも適しています。人間が寝ている間にかく汗の量はコップ1〜2杯程度と言われており、睡眠中に脱水や熱中症などにならないよう、寝る前に適度な水分補給が必要です。また、寝る前の水分補給は肌の潤いを維持し、くすみ・シワ・毛穴の目立ちにくい肌を作る対策になります。
さらに、温かい飲み物を飲むことは副交感神経を優位にするため、睡眠の質を高める手段の1つです。以下は、睡眠の質を高めると期待されるメリットを示します。
- 日中の集中力、判断力が向上する
- 心身のストレスが和らぐ
- 不自然な空腹を感じにくくなる
十分な睡眠時間を確保しているものの日中に強い眠気を感じる場合は、睡眠の質低下が疑われます。寝る前に温かい飲み物を飲み、睡眠の質を高めて日中の眠気の解消を図りましょう。
運動時
カフェインには利尿作用があるため、緑茶や紅茶は運動時の水分補給に適しません。一方で、カフェインが含まれていない桑の葉茶(100g中0.01未満)は、運動中に失われた水分を効率的に補給できます。
桑の葉茶は、運動する人が不足しやすい栄養素を多数含んでいるお茶です。たとえば、桑の葉に含まれるカルシウムには、筋肉の収縮をサポートして疲労骨折を防止する効果が期待できます。鉄分は身体の隅々まで酸素を運び、筋肉のスムーズな動きをサポートする働きが期待される栄養素です。
運動の成果を高めるには、飲み物や食べ物から健康的な身体づくりを助けてくれる栄養素を意識的に摂取する必要があります。栄養面から見ても桑の葉茶は日常的に身体を動かす人と相性がよく、運動中の水分補給に適したお茶と言えるでしょう。
なお、長時間運動したときや大量の汗をかいたときは、「スポーツドリンク」など体内への吸収速度が早く、塩分を含む飲み物の水分補給も必要です。運動時間や方法によって水分補給用の飲み物を使い分け、安全に身体を動かしましょう。
どのタイミングでも飲める桑の葉茶の栄養素
「桑の葉」には、心身の健康づくりを応援するさまざまな栄養素が含まれます。
桑の葉に含まれる栄養素の働きを正しく把握した上で桑の葉茶を飲み、バランスのよい食生活を目指しましょう。桑の葉に含まれる主な栄養素と働きは、以下の通りです。
食物繊維 |
食物繊維は小腸で消化吸収されずに大腸まで達し、お腹の調子を整えてくれる栄養素です。日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあるので、1日あたりプラス3〜4gを目標に補うことが推奨されます。また、食物繊維を適量摂取すると糖の吸収が穏やかになり、食後の急激な血糖値上昇を抑えることも期待できます。急激な血糖値上昇による活性酸素の発生や血管の詰まりを防止するためにも、食物繊維の適量摂取が推奨されています。 |
(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「食物繊維の必要性と健康」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html)
ビタミン・ミネラル |
桑の葉には、ビタミンA・ビタミンB群・ミネラル(鉄分やマグネシウムなど)も含まれます。ビタミンAは脂肪組織や肝臓に貯蔵されて、身体の機能を正常に保つ効果が期待される栄養素です。ビタミンB群は、体内のさまざまな代謝に関わる酵素の働きをサポートします。 ミネラル不足はさまざまな不調につながるため、食べ物や飲み物からバランスよく補うことが必要です。たとえば鉄分不足は、集中力の低下・頭痛・食欲不振などにつながるリスクがあります。マグネシウム不足は、不整脈や虚血性心疾患などを引き起こす原因の1つです。桑の葉茶を飲めば、複数種類のミネラルを効率的に摂取できます。 |
(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「ビタミン」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html)
(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「ミネラル」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html)
(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「鉄」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html)
(出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「マグネシム」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html)
1-デオキシノジリマイシン |
桑の葉は自然界で唯一、1-デオキシノジリマイシンを多量に含む植物と言われています。1-デオキシノジリマイシンは小腸内の酵素に作用し、食後の血糖値上昇を遅らせることが注目される栄養素です。 |
(出典:農業・食品産業技術総合研究機構「1-デオキシノジリマイシン高含有桑葉エキスは食後の血糖値上昇を抑制する」/https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/012906.html)
ギャバ |
桑の葉は、血圧降下作用や抗ストレス作用による健康メリットが近年注目されている「ギャバ」を含む植物です。抗ストレス作用とは「ストレスを和らげて興奮した神経を落ち着かせる働き」を意味します。 ギャバはもともと人間の身体の中にあるものの、慢性的にストレスを感じる状況では通常以上に消費され、不足状態に陥る傾向にあります。ギャバを含む食べ物・飲み物を意識的に摂取して不足分を補充すれば、ストレス耐性を強化し、心身ともに健康的な生活に近づくことができるでしょう。 |
桑の葉茶は軟水で飲むのがおすすめ
桑の葉茶と水の硬度には相性があります。桑の葉茶をよりおいしく飲むには、淹れるときに軟水を使用するのがおすすめです。粉末タイプ(パウダータイプ)の商品の場合も軟水に溶かしたほうがよりおいしく、桑の葉茶本来の旨味や香りを楽しめます。
硬度とは、1Lの水に含まれる炭酸カルシウムの量をmg単位で示す数値です。水道水やミネラルウォーターは硬度により、軟水・中硬水・硬水・超硬水に分類されます。
軟水 | 60mg/L以下 |
中硬水 | 60~120mg/L |
硬水 | 120~180mg/L |
超硬水 | 180mg/L以上 |
(出典:厚生労働省「清涼飲料水評価書カルシウム・マグネシウム等(硬度)」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf)
水の硬度は、土壌の成分や土壌内の滞留時間によって変化します。日本は河川の長さが短く、土壌内の滞留時間も短いことから、多くのミネラルウォーターが軟水です。また、日本の水道水も基本的には軟水であるため、桑の葉茶に向いています。
水道水で桑の葉茶を淹れた際のカルキ臭が気になる人は、水道水を5〜10分程度煮沸消毒してから桑の葉茶を淹れるとよいでしょう。
まとめ
桑の葉茶は嗜好品の一種のため、自分自身の好きなタイミングやシチュエーションで楽しめるお茶です。味に癖が少ないため食前茶に適しており、またカフェインが含まれていない(100g中0.01未満)ので、寝る前や運動時の水分補給にも向いています。
桑の葉茶には、食物繊維・ビタミン・ミネラルなど、心身の健康維持や美肌作りをサポートするさまざまな栄養素が含まれています。軟水で入れるとより美味しく飲めるので、冷やして飲んだり温かいまま飲んだりして、桑の葉茶を楽しんでください。